2015年4月9日木曜日

8期強化会議


こんにちは。はじめまして。駒場研究会8期研究の野並です。今回は会議監督をした強化会議の簡単な報告をしようと思います。

 

34日から5日にかけてオリンピックセンターで行い、事前会合は行いませんでした。基本的にWTOを議場として、議題を貿易における途上国待遇としました。ただし、今回の趣向として会議を第1部と第2部に分けたため、議場、議題は実際の所2組あります。第1部は議場をWTOの第8回閣僚会議、議題は先ほどと同様で、第2部は議場をWTOの貿易交渉委員会、農業委員会特別会合、議題は農業における途上国待遇としました。閣僚会合はWTOの方向性を決める議場であり、貿易交渉委員会はそれを具体的に行っていく議場です。2部に分けた趣旨としては、第1部の結果が第2部を進行する大前提とすることで、杜撰になりがちな成果文書を大事にしてもらおうということがありました。

今会議のメインテーマは「交渉とタイムマネジメント」でした。最近の駒場研究会の傾向として、自分の主張を通す方法がかなりの割合で「論破」であり、時には屁理屈やこじつけとも言える論理を用いていたため、交渉を中心に他の会議行動、多様な会議行動を取れるようにしようと考えました。また、最後の数時間に焦って決議案をまとめる会議が散見されたため、そのようなごたごたで不本意な文言が含まれていたり、把握していなかった文言が含まれていたりする決議案が不用意に通ることを懸念して「タイムマネジメント」をテーマとしました。



アンモデベースの会議での数少ないモデの一コマ
 

 

 
 
 


 





話を変えて議題について。WTOでは「世界貿易機関」という名からも分かる通り貿易について扱っています。1995年に設立された組織で、それ以前に前身となる事務局があったとはいえかなり若い組織です。現在のドーハ・ラウンドが設立後初の多角的貿易交渉(ラウンド)というとその若さも際立つでしょう。当然のように先進国が勝手に議題や決議を作り、一カ国ずつ途上国の大使をとある部屋に呼び多数の先進国の大使が署名を促す方式も無くなってまだ20年も経っていません。途上国で開発が進み国際的地位を向上させた結果、実質的にも制度的にも待遇を向上させようとしました。その向上を達成する過程で、先進国に譲歩を引き出すための手札として待遇向上を利用されて現在に至ります。

そもそも貿易ルールは他の国際会議での決議や結論と全く異なり、具体的に定まり、交渉され、抵抗を許さず実行に移すことを求められます。その影響はその後半永久的に自国の経済に影響をもたらし、有利不利のバランスが長期的に維持されるため、交渉に注ぐ力は尋常ではありません。不用意な譲歩は決して許されない議場だったと認識しています。

 
夕食後のモデ

 





 






今回設計にあたってこだわったことはやはりプロシージャーにあります。個人的に要らないと考えるところ(長いスピーチ時間や動議募集の手続き・過程など)を削ぎ落とすこと。また、システムを変えることで会議行動を変えること。この2点を目的としていました。人の行動はシステム(置かれている環境)が変わらなければ変わらないという認識も裏にあります。

 
日陰で裏取引中。現実に則して飛び道具ありな会議でした。

 











 
結論から言えば、これらの考えはやはり理想でした。とはいえ、実際、普通の会議では見られない会議行動が見られたり、交渉への流れができたりなど予想を超える会議になりました。なによりも数少ない「してはいけないこと」しか定められていない様な会議が形になっただけで驚きに値する事だったと思います。議長練と勉強会の時のゲームを通して形にしてくれるだろうと信じて緩い作りにしたわけですが、よかったです。

 

交渉が確固たる手札としてこまけんに加わればもぎこく力がより高まる事必至です。今の他研からの評価に、しっかりとした中身を注ぎ込み、より膨らませることができたら、というのがささやかな思いです。今後の会議でこれでもかという多様な会議行動が見られたらいいなと、できたらいいなと心のそこで願っています。

 

では。