2015年9月30日水曜日

関西大会 2015


 
こんにちは。日本模擬国連駒場研究会旧メン、日本大学国際関係学部国際総合政策学科2年の窪嶋優希(くぼしまゆうき)です。

私は昨年度まで京都研究会に所属していましたが、今年度から大学を編入し、現在は駒場研究会に所属しています。



今回は私から、8月17日(月)から19日(水)まで三日間の日程で行われた第15回模擬国連会議関西大会について報告致します。


模擬国連会議関西大会は日本模擬国連の主催で毎年8月に行われる国内最大規模の模擬国連大会です。全国から約250名の参加者が集まり、実際に国際会議が開かれる神戸国際会議場・神戸ポートピアホテル(兵庫県神戸市)にて、会議に取り組みます。今年の大会には、「エボラ出血熱への対応」「気候変動」「捕鯨業の規制及び鯨類資源の保全」「海賊問題」「人権の保護と促進・平和への権利」「コソボ情勢」「持続可能な開発のための教育」と、7つの議題の会議があり、三日間熱い議論が繰り広げられ、私たち駒場研究会からも27名が出場しました。



私はコソボ情勢の会議にルクセンブルグ大使として出場しました。この会議は、1990年代後半、セルビアで勃発したコソボ紛争について、現地の民族への弾圧を辞さないセルビアのミロシェビッチ政権に対して、どのように対処していくかというもので、「国際連合安全保障理事会(以下SC)」と「北大西洋条約機構(以下NATO)」の2つの会議で構成され、2つの議場がそれぞれの動きと照らし合わせたうえで会議が進行していく形式で行われました。私が担当したルクセンブルグはNATOの会議に所属していました。



このNATOの会議の大きな特徴としては、まず、議場が国連ではなくNATOであったこと、そして、時間が経過していく毎に、紛争の状況やNATOとSCの議場の動きが刻一刻と変化していく臨場感のある会議でした。これにより、この会議の参加者は、次々と迫ってくる事態の変化に翻弄されつつ、NATOとSCのそれぞれの議場がセルビアのミロシェビッチ政権に対する対抗姿勢(人道的介入)を見出していきます。
 

 
ここからは、会議の内容について報告します。

NATOとSC両者の存在意義について、NATOは国連憲章の目的に従いながら民主主義・自由の価値観を擁護する価値共同体として存在することが定められています。その一方SCでは、国連憲章によって、国際の平和及び安全の維持に主要な責任を有していることが目的として定められています。これにより、私が参加したNATOの会議では、国連安保理に相反するような政策を立案したりすることは許されず、国連の活動を支える条約機構としての政策を立案する必要がありました。



ルクセンブルグの立場としては、簡潔な表現で表せば、「平和に繋がるものなら、積極的に協力する」というものでした。国連の核軍縮に向けた決議では協力国、平和に向けた人道的介入についても、経済援助による後方支援をしたことも多く、NATO創設時からの加盟国として、このNATO会議でもコソボ地域の平和に向けて、あらゆる介入をしていくつもりで、コソボにおける人道的介入には賛成的な立場でいました。しかし、自国の軍隊の数が数百程度という背景もあり、コソボ地域における軍事的介入には後方支援のみしか協力できず、空爆などの軍事的介入には中立的な立場でした。仮に軍事的介入に踏み切ったとしても、後方支援をする国として、それが有意義なものとなることを求めつつ、基本的には人道的介入には平和的な手段を求めていくことが、ルクセンブルグの立場でした。このため、今議場におけるルクセンブルグは、複雑な立場といえ、議論によっては、コソボへの軍事的介入に支持を表明している国々としばしば対立しました。事態の悪化により、空爆や地上部隊の投入による軍事的介入を容認せざるを得なくなるなど、厳しい会議運営を迫られましたが、ルクセンブルグとしての国益は十分に守る事が出来たと感じています。当初はどちらかといえば、議場全体が軍事的介入をとっていくことに中立的であったため、万が一の軍事的介入に向けた動きを想定して、それに向けた慎重で具体的な議論ができ、その軍事的介入が有意義なものとなることを求めるルクセンブルグにとっても、有益なものであったと思います。



今回の関西大会では"Try New Things!!!"という大会テーマが設定されていました。最近、大学生が内向的な傾向があると叫ばれているなか、自分への挑戦や既存の自分の殻を破る勇気、自分の課題の発見といった、新しいことに挑戦していき、最高の経験となることが、テーマに込められています。私は大会が始まる前までの当初は、会議でルクセンブルグのような複雑な立場の国を担当することが、嫌で仕方ありませんでした。

「複雑な立場の国など、自分にはうまくできないかもしれない」

そのような考えがありました。しかしやがて、これは自分に与えられた試練と受け止め、大会テーマのように、新しいことに挑戦することに前向きな姿勢で取り組み、私にとって最高の経験となれるよう生き方を磨いていきたいという気持ちになり、いつしか会議を楽しみにしている私がいて、三日間に及んだ大会は私にとって最高の経験となりました。新しいことに挑戦していくということは、自分の生き方に真剣に向き合うことが必要となる非常に難しいものですが、自分の殻を破って成長しようとする姿勢は、将来の生き方に必ず生かされます。大会に参加されていた皆さんにとっても、将来に生かされる最高の経験となったことでしょう。もちろん、今大会で経験した悔しさもあるでしょう。しかし、その悔しさを次にどのように生かしていくかが大切で、努力と経験を積み重ね、どれだけの熱意をもって取り組んでいけるかが、今後の生き方に関わっていきます。物事に積極的に取り組み、熱意をもって努力を積み重ねながら、ひたむきに日々を歩んでいく。それが人間らしい生き方であると思います。模擬国連という活動は、こうした生き方についても考えさせられるものです。



大学生活という将来へのかけがえのない時を、模擬国連を通して成長していきませんか?

今回の報告で、模擬国連という活動や関西大会への興味を持って頂けたら幸いです。



最後に、模擬国連会議関西大会の企画に関わっていた運営事務局の皆様をはじめ、NATO会議の参加者の皆さん、その他の大会を支えてくださった全ての皆さんに感謝の意を表し、報告を終わらせて頂きます。


最高の三日間、ありがとうございました!