こんにちは。駒場研究会7期会長を務めております、東京大学文科一類2年の矢倉康平です。
本日は、8月18日から20日にかけて行われました、模擬国連関西大会についての報告をさせていただきます。
関西大会は、日本で行われる大規模な全国大会の1つであり、全国から多くの大学生が集まって熱い議論を繰り広げます。今年の関西大会は神戸のポートピアホテルで行われました。
参加者は、サイバーテロ、政治腐敗の予防と対応、南スーダン情勢、持続可能な森林経営、安全保障理事会における衡平な代表性に関する問題、満州事変への対応、という6つの議題に分かれて会議に臨みました。
私は南スーダン情勢の会議にアルジェリア大使として参加しました。この議題は、昨年末に勃発した南スーダンの内戦にどう対処していくかというものでした。この会議の特徴は、議場が国連ではなくアフリカ連合(AU)であったこと、そして時間の経過とともに内戦の状況が刻一刻と変化していく臨場感のあふれる会議(いわゆるクライシス会議)であったことでした。参加者は、次々と舞い込んでくる事態の変化に翻弄されながらも、アフリカ大陸としての答えを見つけ出していくという、ハードながらもやりがいのある会議行動をすることになりました。
ここから少しだけ会議の内容に踏み込みます。
アルジェリアの立場は、ごく簡潔にいうと外からのあらゆる干渉を嫌うというものでした。南スーダン情勢においても内政不干渉を貫く立場であり、軍事行動による対処を主張する国々としばしば対立しました。事態の悪化に伴い、途中で軍事行動を容認せざるを得なくなるなど苦しい会議運営を迫られましたが、アルジェリアとしての国益は十分守ることができたと感じています。アルジェリアとしては、会議冒頭で南スーダンの現政権の正統性を確認するという会議行動ができたことは、その後の会議の円滑な進行に貢献したばかりか、アラブの春の影響による政権の転覆を恐れているアルジェリアにも利するものだったと評価しています。
ペアが新メンであったため、立ち交渉をペアに任せたうえで私は全体議論に終始参加しました。会議の進行に関しては、中立的に会議を主導しているように見せかけて実は自国に有利に進める、ということを心がけました。展開の早い今会議において、ペアとの調整をこまめに行うことができたのは非常に大きかったと思っています。
昨年の関西大会で南スーダンの大使を務めた経験から、この会議は私にとっては特別なものでした。大使を担当した際に直視することとなった南スーダンの国民の困窮、内戦によってさらに悪化したこれに対してどのような答えを見出していけるのか、常に自問し続ける準備期間、そして大会の3日間でした。ともすれば自分とは関係ないと思いがちな遠い国での内戦をじっくりと見つめることができたことは、結果的にべスデリをとることができたという会議の成果より大きな収穫だったかもしれません。また、ペアに対して私がこれまでに模擬国連で得たものを大部分教えることができたことも大きな収穫であると感じており、彼女の今後の成長のきっかけとなることを願っています。
駒場研究会会員は、べスデリ3つを含む多くのアワードを獲得したこともあり、今関西大会において自分の能力をいかんなく発揮してくれました。もちろん不本意な結果に終わってしまった会員もいるとは思いますが、普段の駒場研究会の会議とは異なる環境において会議に参加することで、会員がそれぞれ様々な刺激を得ることができたでしょう。こういった刺激は、今後の模擬国連活動や将来に間違いなくいい影響をもたらしてくれると信じています。そして何よりも、会員皆がこの関西大会を精一杯楽しんでくれたのではないでしょうか。
このあたりで関西大会の報告は終わらせていただきます。まだまだ今年の駒場研究会の活動は続くので報告を楽しみにしていてください!