こんにちは、前期会議で会議監督を務めさせていただきました駒場研究会旧メン、東京大学文科一類2年の世喜健斗(せきけんと)です。今回は、私から前期会議についての報告をいたします。
まずは、議題は「保護する責任の履行」というものでした。保護する責任とは、「各国政府がそれぞれ第一義的に自国民を守る責任を持つ一方で、その政府が自国民を守る意思または能力がない場合に、国際社会が代わりにその責任を負う」というもので、冷戦後各地で起こる紛争に対応する「人道的介入」の代わりのような概念です。人道的介入は1990年代に、その有効性や正統性に疑問符が付いてしまいました。その後現れた概念が「保護する責任」です。ですが、この「保護する責任」は比較的新しい概念であるため、その具体的な基準などは十分に定まっていません。
今回の会議では、保護する責任をどのように運用するかという観点から、事務総長報告書『保護する責任の履行』でも言及された「三つの柱」、に基づいて、特にその中でも第三の柱に当たる「適切な時期と断固とした対応」という軍事的介入に関わる議論がなされました。今回の会議の具体的な流れへの言及は致しませんが、この「保護する責任」の議論には人権保護の観点とともに、介入の正当性など、軍事的な側面も含まれており、旧メンにとっても非常に難しい議論であったと思いますが、新メンも含めた参加者が皆、きちんとリサーチなどの準備をし、モデなどの難しい議論や文言の作成などでも積極的に参加しようとしていたことを、喜ばしく思っています。
今回の前期会議では「壁に向き合う」というテーマを設定していました。「保護する責任」という様々な視点が必要となる非常に難しい議題であり、会議に参加する中でも困難に直面しつつ、国連自体の限界にも挑戦するという幾重にも「壁」があった会議でしたが、一生懸命壁に向き合ったくれた参加者の皆さんはいつかその「壁」を乗り越えられるものと思っています。
また、今回の会議の議題である「保護する責任」への理解を通して、人権とは何か、正義とは何かなどについても考えてみてくだされば幸いです。
最後に、会議監督としては不出来な私に代わり、きちんと会議を作ってくれた会議監督・議長の松田、秘書官兼事務総長として会議を支えてくれた吉田、参加者の皆様に感謝の意を表して報告を終わらせて頂きます。